「モノ」の流通する業界に欠かせないのが「在庫管理業務」です。「在庫」は将来的に「現金化されるもの」であるため、いずれの業界においても適切な在庫維持が求められます。
今回は、各種業界が抱える在庫管理の課題と、在庫管理に最適な在庫管理システムについてご紹介します。
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在庫管理するべき”モノ”とは?
この記事では、具体例として「製造業」「小売業」「建設業」で在庫管理するべき”モノ”から話を進めていきます。
製造業の場合
製造業で在庫管理するべき”モノ”は、生産形態により異なります。在庫管理も形態に沿って分類されます。
■製造業における3つの在庫■
①素材
機械・自動車のように、部品を組み立てて生産する方法を組立・加工製造、石油精製や薬品など、原料を化学変化させて生産する方法をプロセス製造といいます。
組立・加工製造の在庫は「部品」、プロセス製造の在庫は「原材料」です。まず、部品は、ネジのように完成されたものを仕入れて保管する在庫です。そして、原材料はそのままでは使用できないため、調合・加工などのプロセスを経て保管します。例えば樹脂材であれば、プレス機にかけて成形することで初めて部品となるのです。
②仕掛り在庫
生産途中の未完成品を言います。そのままの状態では販売できないため、原材料を仕入れて加工した部品のほとんどが、仕掛り在庫となります。なお、仕掛け品として販売できる状態の製品を「半製品」と言うこともあります。
③完成品
出荷を待つ「完成された製品」です。顧客に販売できる状態であり、出荷されるまで在庫となります。なお、完成品の保管場所は工場内に限りません。店頭に並ぶなど客先に届く点が上記2つと異なります。
■製造業の在庫管理のコツ■
①適正在庫の明確化
過去のデータより、適正な在庫数量を明確化します。市場や顧客ニーズに対応し得る範囲で在庫を確保しましょう。在庫を持たずに欠品することは避けます。
②在庫数の可視化
現時点で保管している在庫数を可視化します。併せて3か月先など、一定期間の数量を見越して把握しましょう。
③過不足の把握
購買依頼業務を的確に行うためにも、在庫が一定数を下回ったタイミング、もしくは過剰になったタイミングでアラートを出す仕組みを整えます。
小売業の場合
■小売業における在庫■
小売店における在庫は、「店舗の倉庫にある商品」と言えます。販売するために仕入れた商品のうち、売り場とは別の場所に保管しているものです。
■小売業の在庫管理方法■
小売業では、現時点の在庫数を把握する「在庫数管理」と、売れ行きを予測し、それに基づいて在庫数をコントロールをする「在庫引当」が重要です。
■小売業の在庫管理のコツ■
①適正在庫の確保
適切な在庫数量の維持が重要です。というのも、過剰在庫の場合、保管スペースの増加に伴う保管コストが高くなりますし、過剰分の廉価販売や廃棄により収益の減少が生じます。一方で十分な在庫を持たない場合、顧客ニーズの増加による消費に対応できません。不良品トラブルへの交換対応にも応じることができないでしょう。
②在庫数量の可視化
適正在庫を確保した後、在庫の過不足を無くすためにも在庫数量を可視化します。扱う製品によってデータ分析を行えば、受発注の適切な数量コントロールも期待できます。
③在庫ロスの低減
特に「食品」分野で無くしたいのが在庫ロスでしょう。食品には賞味期限・消費期限があるため、場合によっては販売できないまま不良在庫、廃棄処分になります。過剰在庫や賞味期限を管理しましょう。
建設業の場合
■建設業における在庫■
建設業では、「仕掛けている現場の経費」を在庫とします。つまり、製造業と同様、「仕掛品」を在庫と言うのです。
■建設業の在庫管理のコツ■
在庫や仕掛かりが増えると、現金が無くても利益が生じることがあります。
つまり、棚卸資産は在庫の仕入でお金を支払っていても、売上がたつまでは経費にならないので、手元の資金もないままに節税できない事態が生じるのです。
①仕入段階で、支払いによりお金が減る
②売れていなければ入金がない
③他の部分で利益があれば、納税が必要
※「棚卸資産」=売上がたつまでは「経費で落としてはならない」資産
※「在庫」=「仕掛かり」=「棚卸資産」
■在庫の搬入先に注意■
建設業では、材料を現場に直送することがあります。「現場の状態・施主の意見・追加工事発注の有無」によって現場の完成時期は異なりますが、その現場の完成時期によっては、直送した材料が「在庫」となります。
このように、倉庫や事務所に搬入されない場合、在庫の計上漏れが起きがちです。税務調査でのトラブルを回避するために、予め理解を深めておきましょう。
在庫管理業務での課題とは
在庫管理が不十分な場合、販売機会損失による売上の減少と利益の低減、資金繰りの悪化を招いてしまいます。というのも、在庫は会社の「棚卸資産」であり、売上がたつまでは経費として計上できません。在庫が多ければ多いほど動かせないお金が増えていくのです。
ここでは、具体的に3つの課題をご紹介します。
在庫数に差異が生じる
在庫を管理していると、記録データと実在庫数に差異が生じることがあります。
在庫管理業務は、顧客の注文に対して確実に納品を行うべく重要な役割を担っています。適切な管理方法を検討する前に、差異が生じる原因を探りましょう。
■なぜ在庫数に差異が生じるのか■
①曖昧な在庫管理ルール
在庫管理ルールが曖昧なために、適切な在庫管理ができていないことがあります。
②作業ミス
数値の記帳ミスや記帳漏れなど、手動で行う管理ではミスが起きやすくなります。
小さなものも、積み重なれば大きな差異となります。また、業界に特有の保管方法もありますから、前述したような在庫の搬入先の把握、管理にも留意しましょう。
③データの二重入力
例えば、製造業で必要な「生産管理」では、調達管理と在庫管理とで重複するデータを扱います。同一の現物に対しそれぞれの管理方法で入力することにより、二重入力が起きるのです。
④個人判断による操作
製品販売に対するノルマがある場合、当月の売上余剰分を次月に回す、という個人判断によるデータ操作が起きるかもしれません。個人都合による行為は、実際の在庫と記録データに差異を生じさせ、適切な在庫管理業務を困難にさせるのです。
■この問題からわかること■
在庫の保管上、実地棚卸では数量を確定するだけで問題ありません。
しかし、棚卸を行い在庫管理の問題点が明らかになれば、管理業務改善のチャンスとなります。
販売機会を損失する
販売機会の損失とは、在庫切れにより、本来なら販売できるはずの商品が販売できないことによる損失を言います。利益獲得のチャンスを逃しているので、売上減少につながります。
■販売機会の損失を生じさせる原因■
①顧客のニーズに応えられる在庫数が無い
②顧客のニーズを把握できていない
■この問題からわかること■
在庫は販売機会の損失を防ぐ役割を担います。
顧客が求める製品を在庫として持っていなければ、ニーズに応えることができません。
製造業の場合、部品や原材料の不足、欠品は製造停止を招きます。小売業であれば、販売できるものが無い限り、売上減少となります。一方で、顧客側は求める製品を手に入れることができなくとも、他の企業に発注をかけることができます。
つまり、在庫があれば、販売機会の損失と顧客の損失を防止できるのです。
在庫管理は適切な発注から始まります。入庫をコントロールするためにも、在庫量を適格に把握し、需要予測を立てましょう。
廃棄処分が多く発生する
前項とは逆に、大量の在庫を抱えることがあります。それらのうち、何らかの原因により適正な価格での販売が不可能となった、もしくは販売自体できないものを「不良在庫」と呼びます。
不良在庫が過剰となれば保管スペースを圧迫し、その分のコストもかかります。
そして、売れ残り回避のために価格を下げて乱売を行えば利益を圧迫するでしょう。この項では、大量に発生する廃棄処分についてご説明します。
■廃棄処分が多く発生する原因■
①大量の余剰在庫
廃棄処分が多く発生するのは、そもそも余剰在庫を抱えていることが原因です。
例えば製造業では、部品・原材料、建築業の場合、各種材料を入庫します。
これらの部品の類は、どのような素材でできていても経年劣化が生じます。使用しないまま在庫として保管するだけでも、品質低下を起こして不良在庫に変わるのです。
また、小売業で扱う食品を考えてみましょう。
食品には賞味期限・消費期限が設けられています。このため、消費期限が迫った商品は販売できないまま不良在庫となり、廃棄処分するしかありません。
②不適切な管理方法
その他、部品・原材料、食品をはじめとする各製品には適切な管理方法があります。適切な在庫数量を維持していても、温度・湿度・保管場所など、不備が無いように努める必要があります。
■この問題からわかること■
まずは、適正量の入庫を行いましょう。製品を発注することで在庫が発生し、出庫ができなくなれば余剰在庫を抱えるリスクが高まります。
つまり、在庫量を把握し、経年劣化と食品の廃棄期限を予測する、そして需要予測を立てることで発注コントロールを行います。買い過ぎを防止することで、余剰在庫を減らすのです。
次に製造業に当てはまりますが、生産管理業務を整えることで在庫の過剰生産を防止します。
生産管理システムと在庫管理システムなどの連携が取れていれば、常に適正な在庫を把握できるでしょう。在庫の作り過ぎを防止できれば、余剰在庫も生じにくくできます。
もちろん、不良在庫を発生させないよう、管理不備を無くすことも大切です。適切に管理業務を行うことができる仕組みを整えましょう。
在庫管理に便利!【在庫管理システムとは】
在庫管理システムとは、従来の紙で出力する伝票や帳簿による「在庫管理業務の軽減」を目的に導入されるシステムを言います。
具体的には在庫や入出庫の情報、在庫不足情報把握するために用いられます。最近では、入出庫の情報から適正な在庫量を算出し、アラート発信を行うシステムもリリースされています。
在庫管理システムのメリット
ここまで、製造・小売・建設、各業態の在庫と管理のコツをご紹介するとともに、在庫管理業務で生じやすい問題点についてお伝えしました。
それでは、前述の在庫管理システムを導入した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。
・リアルタイムの情報把握
・情報の可視化
・管理業務の時間短縮
・汎用性のあるデータ活用
主に、これらが期待できます。
使いやすくて便利な在庫管理システム「FunBiz」
ここで、在庫管理の自動化を可能にする「FunBiz」をご紹介しましょう。FunBizzは、便利な機能をシンプルに搭載したソフトウェアです。
しかも年齢層を問わずどなたでも使えるように設計されています。
「FunBiz」とは
FunBizならば、在庫管理業務で抱えがちな悩みに対応できます。
・どこから手をつければ良いかわからないが、在庫管理の業務を改善したい
・エクセルや手書きによる伝票・帳票の管理が煩雑になっている
・受発注の処理に時間がかかってしまう
・適正在庫の維持が難しい
このような悩みを抱えている管理担当者様に、ぜひ検討していただきたいのがFunBizです。
「FunBiz」の特徴
・時と場所を選ばずアクセス可能
FunBizは、クラウド型のソフトウェアです。インターネット環境があれば、いつでもどこでもアクセス可能です。レスポンシブ対応により、スマホ・タブレットを問わず異なる端末でもストレスフリーで情報を確認できます。ハードウェアも不要ですから、低コストでの導入・運用が可能です。
・シンプルで使いやすい画面設計
開発コンセプトは「運用できる、使いやすいシステム」。年齢層を問わないシンプルな画面設計を実現しています。これにより幅広いユーザーに運用していただくことができるのです。
・全てを把握できるダッシュボード形式
全ての状況を一目で把握できるよう、「ダッシュボード形式」を取り入れました。リアルタイムで更新される情報を逃さず把握できます。また、このFunBizには「アラート機能」も搭載しています。事前に発注点を設定しておけば、在庫数量が下回った時にお知らせしてくれるので、欠品の防止に効果を発揮します。
・在庫一覧から棚卸が可能
在庫一覧と同じく、全ての商品をまとめて棚卸できます。
・在庫変動を記録
登録された在庫商品は、初期在庫や棚卸による増減など全ての履歴を記録しています。
まとめ
今回は、一部業界をピックアップしながら在庫管理業務についてご紹介してきました。在庫管理は適切に行うことで売上の減少と利益の低減、資金繰りの悪化を防ぐことができます。
現在は、一元化した環境で作業ができる在庫管理システムもリリースされています。便利な機能がシンプルに搭載された在庫管理システムを探している場合、FunBizの導入を検討されてはいかがでしょうか。